測天型敷設艇(そくてんがたふせつてい)は、日本海軍の敷設艇。同型艦5隻。
法令上(特務艇類別等級)は③計画艦5隻と④計画艦9隻を合わせて測天型としているが、このページでは③計画艦5隻のみを扱う。④計画艦は平島型敷設艇を参照。
計画
②計画で建造された夏島型敷設艇3隻に続き、防備隊所属敷設艇の代替艇として③計画(昭和12年度)により5隻建造された。 昭和12年度(1937年)の成立予算は1隻当たり2,450,000円、昭和16年度(1941年)に物価高騰を考慮した予算が追加され、1隻当たり2,540,064円となった。 仮称艦名は「第57号艦」から「第61号艦」。
艦型
計画番号H11。 前型の夏島型敷設艇(計画番号H5、H5b)の改良型になる。 軍令部の要求も夏島型に準じたものだったが、公試排水量を本型から機雷搭載状態に変更したため、計画で750トン(夏島型は510トン)となった。
船体は凌波性向上のため船首楼を艦橋後端まで延長、艦首に向かってシアーを付けた(夏島型はシアー無し)。 舵は低速での保針性のために半釣合舵を装備した。
主機は当初の計画ではタービンだったが、「猿島」で好評だったディーゼル推進とした。 搭載のマン式3号10型ディーゼルエンジンは元が商船用で比較的低速で重量も大きかったが、性能や信頼性が良く、出入港では内火艇のように自由に操艦できたという。
主砲に代わり、対潜水艦のために発射速度の速い40mm機銃を搭載したが、次型の平島型では8cm高角砲に戻されている。機銃は13mm連装機銃1基も装備した。
機雷は九三式機雷120個の搭載できた。 なお、次型の平島型では九三式機雷、五号機雷、九二式機雷(管制機雷)のどれか1種類搭載と計画されている。 機雷を搭載しない場合は、防潜網か捕獲網の搭載も出来た。 機雷庫は機械室の前後に置かれ、艦の前後方向の重心移動も考慮されている。 その他爆雷も36個搭載出来、 いわば対潜哨戒兼敷設艇であった。
運用
1937年(昭和12年)から1940年(昭和15年)にかけて、三菱横濱船渠と石川島造船所で建造され、 大戦中は本来の要港防衛や機雷敷設などに加え、船団護衛も行った。 終戦時は「巨済」1隻が横須賀で残存している。
同型艦
- 測天(そくてん)[II]
- 1938年(昭和13年)12月28日竣工(三菱横浜船渠)。1944年(昭和19年)7月25日戦没(パラオ近海、航空機)。
- 白神(しらかみ)
- 1939年(昭和14年)4月25日竣工(石川島造船所)。1944年(昭和19年)3月3日日蘭丸と衝突、3月5日得撫島南方で船体切断、沈没。
- 巨済(きょさい)
- 1939年(昭和14年)12月27日竣工(石川島造船所)。終戦時在横須賀。復員輸送ののち1947年(昭和22年)11月20日英国に引き渡し、塩釜で解体。
- 成生(なりゅう)
- 1940年(昭和15年)6月20日竣工(三菱横浜船渠)。1945年(昭和20年)2月16日戦没(潮岬沖、米潜「セネット」)
- 浮島(うきしま)
- 1940年(昭和15年)10月31日竣工(石川島造船所)。1944年(昭和19年)11月16日戦没(静岡県初島沖、米潜)
脚注
注釈
出典
参考文献
- 海軍省/編『海軍制度沿革 巻八』 明治百年史叢書 第180巻、原書房、1971年10月(原著1941年)。
- 海軍省/編『海軍制度沿革 巻十の2』 明治百年史叢書 第183巻、原書房、1972年4月(原著1940年)。
- 『日本海軍護衛艦艇史』 世界の艦船 1996年2月号増刊 第507集(増刊第45集)、海人社、1996年2月。ISBN 4-905551-55-2。
- 福井静夫『終戦と帝国艦艇 わが海軍の終焉と艦艇の帰趨』光人社、2011年1月(原著1961年)。ISBN 978-4-7698-1488-7。
- 福井静夫『写真 日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1。
- 防衛庁防衛研修所戦史室『海軍軍戦備<1> 昭和十六年十一月まで』 戦史叢書第31巻、朝雲新聞社、1969年。
- 牧野茂、福井静夫 編『海軍造船技術概要』今日の話題社、1987年5月。ISBN 4-87565-205-4。
- 雑誌「丸」編集部 編『写真 日本の軍艦 第14巻 小艦艇II』光人社、1990年9月。ISBN 4-7698-0464-4。
- 「敷設艇 一般計画要領書 附現状調査」。
- アジア歴史資料センター(公式)(防衛省防衛研究所)
- 『昭和13年12月25日現在 10版 内令提要追録第4号原稿/巻1 追録/第6類 機密保護』。Ref.C13071978400。
- 『昭和15年6月25日現在 10版 内令提要追録第7号原稿/巻3 追録/第13類 艦船』。Ref.C13071990500。
- Ref.C13071997700『昭和16年6月30日現在 10版 内令提要追録第9号(上)原稿/巻1 追録/第6類 機密保護』。
- 『昭和17年6月30日現在10版内令提要追録第11号(中)原稿/第6類機密保護』。Ref.C13072007500。




