「月は無慈悲な夜の女王」("The Moon Is a Harsh Mistress"、時に "The Moon's a Harsh Mistress" とも)は、アメリカのソングライター、ジミー・ウェッブによる曲。
シングルではチャートインしたことがないが、何度もレコーディングされるスタンダード・ナンバーとなった。ウェッブは曲のタイトルを1966年のロバート・A・ハインラインのSF小説『月は無慈悲な夜の女王』からとった。この曲は特に自身の引退ツアーで演奏したグレン・キャンベルや、ジュディ・コリンズ、リンダ・ロンシュタット、そして、1974年にこの曲を最初にレコーディングしたジョー・コッカーと結び付けられている。
たいていの場合、ト長調(から変ロ長調)で歌われている。曲の構成は7行のヴァースと2行のコーダからなる。最初の2つのヴァースはAABACDCの押韻構成となっている。第3ヴァースでは3音半(ト長調から変ロ長調)の転調が行われ、韻律もABABCDCに変化し、続くコーダの韻律はDCの繰り返しである。曲の調子は4分の4拍子となっている。
2009年の「Penny Black Music」へのリサ・トーレム(Lisa Torem)によるインタビューで、ジミー・ウェッブはロバート・ハインラインの影響と曲のタイトルについて語っている:
ジョー・コッカーが1974年に初めてレコーディングして以来、「月は無慈悲な夜の女王」はジュディ・コリンズ、リンダ・ロンシュタット、ジョーン・バエズといった女性歌手による伝統的な解釈から、グレン・キャンベルやマイケル・ファインスタインといった男性歌手によるバージョンまで幅広いアーティストたちによってレコーディングされている。ウェッブ自身は、最初は1977年の自身のアルバム『エル・ミラージュ』 (El Mirage)で、2回目は1996年の自身のアルバム『Ten Easy Pieces』で、最後はジョー・コッカーとのデュエットで2013年の自身のアルバム『スティル・ウィズイン・ザ・サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』 (Still Within the Sound of My Voice)でと、この曲を3回レコーディングしている。
この曲は幅広いレンジのアーティストを引き付けており、その中には2011年にノルウェーのミュージシャンが投票した史上最高のノルウェーのアルバムに選ばれた、1982年のアルバム『フェアリーテイルズ』でこの曲をレコーディングしたノルウェー人歌手、ラドカ・トネフも含まれている。様々なインストゥルメンタル・バージョンもまた録音されており、その中にはグラミー賞の最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞した1997年のチャーリー・ヘイデンとパット・メセニーのアルバム『ミズーリの空高く』 (Beyond the Missouri Sky (Short Stories))もある。
録音されたバージョン
- ジョー・コッカー : 1974年のアルバム『ユー・アー・ソー・ビューティフル』 - I Can Stand a Little Rain — 歌詞
- グレン・キャンベル : 1974年のアルバム『復活』 - Reunion: The Songs of Jimmy Webb
- ジュディ・コリンズ : 1975年のアルバム『ジュディの宝物』 - Judith
- ジーニー・ルイス : 1975年のアルバム Tears of Steel & the Clowning Calaveras
- ジミー・ウェッブ : 1977年のアルバム『エル・ミラージュ』 - El Mirage
- エリック・ネルソンとミッシェル・ピラー : 1979年のアルバム The Misfit
- ラドカ・トネフとスティーヴ・ドブロゴス : 1982年のアルバム『フェアリーテイルズ』 - Fairytales
- リンダ・ロンシュタット : 1982年のアルバム『ゲット・グローサー』 - Get Closer
- ジョーン・バエズ : 1987年のアルバム『リーセントリー』 - Recently
- ジミー・ウェッブ : 1996年のアルバム Ten Easy Pieces
- パット・メセニーとチャーリー・ヘイデン : 1997年のアルバム『ミズーリの空高く』 - Beyond The Missouri Sky
- グラジーナ・アウグスチク : 2001年のアルバム The River (2001)
- マイケル・ファインスタイン : 2003年のアルバム Only One Life: The Songs of Jimmy Webb
- トーネ・ダムリ : 2005年のアルバム Bliss
- カーリン・アリソン : 2006年のアルバム Wild for You
- アルバート・リー 2006年のアルバム : Road Runner
- アレクサンドラ&ザ・ベルジャン・スウィーツ : 2008年のアルバム Island Girl
- モーリン・マクガヴァン : 2008年のアルバム A Long and Winding Road
- ケルティック・ウーマン (リサ・ケリーによるソロ) : 2010年のアルバム Celtic Woman: Songs from the Heart
- ニック・ヘイウッド・カルテット : 2010年のアルバム 1234
- ニルス・ラングレン : 2011年のアルバム The Moon, the Stars, and You
- セリア・ネルゴール : 2012年のアルバム Unclouded
- ジョシュ・グローバン : 2013年のアルバム『オール・ザット・エコーズ』 - All That Echoes
- ジミー・ウェッブとジョー・コッカー : 2013年のアルバム『スティル・ウィズイン・ザ・サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』 - Still Within the Sound of My Voice
- リタ・マルコチュリ&ルチアーノ・ビオンディーニ : 2014年のアルバム La strada invisibile
- ジョン・ホレンベック : 2020年のアルバム Songs I Like a Lot
脚注



